法話~今日の糧~

日蓮大聖人のお言葉

  • 三十日

    塔婆の功徳

中興入道御消息 祖寿五十八歳 於身延 中興入道宛

みまかりぬる、幼子のむすめ御前の十三年に、丈六の卒塔婆をたてて、
其面に、南無妙法蓮華経の七字を顕しておわしませば、北風吹ば南海の魚族、
其風にあたりて大海の苦をはなれ、東風きたれば西山の鳥鹿、其風を身にふれて、畜生道をまぬかれて、都卒の内院に生れん。
況や、かの卒塔婆に随喜をなし、手をふれ、眼に見まいらせ候う人類をや。

現代語訳
亡くなられた幼子のむすめ御前の十三回忌に、大きな卒塔婆を立て供養された。その塔婆の表に南無妙法蓮華経の七字の題目を書き表せば、北風が吹けば、南の海にいる魚たちがそのお題目の風に触れて大海の苦しみから脱し、東風が吹き来たればその反対の西山の鳥や鹿がその風に身を触れて畜生道をまぬがれて、天上界に生れることができるのである。いわんやかの卒塔婆に随喜し、手を触れ眼に見る人達の功徳は計り知れない。

今日の糧

ご先祖の供養をはじめ様々な折に立てる卒塔婆(塔婆)には、このように計り知れない功徳が込められているのです。
この意義を再確認し仏事を営みたいものです。

中興入道
近藤信重。佐渡の守護代本間重連の家臣。阿仏房夫妻や国府入道夫妻等と同様、大聖人佐渡流罪中に夫婦で信徒になった。大聖人が在島中の大半を過ごされた一谷の近郷の中興村に住し、後に剃髪し中興入道と呼ばれた。本書は亡き娘の十三回忌追善のため、身延におられる大聖人の下へ登詣した中興入道に、供養の品を託した妻への返礼状。この一節は供養のために立てる卒塔婆の功徳を述べられる。