法話~今日の糧~

日蓮大聖人のお言葉

  • 三十一日

    知恩報恩

報恩抄 祖寿五十五歳 於身延 浄顕房・義城房宛

日蓮が慈悲曠大ならば、南無妙法蓮華経は万年の外未来までもながるべし。
日本国の一切衆生の盲目をひらける功徳あり。
無間地獄の道をふさぎぬ。
此功徳は伝教天台にも超え、竜樹・迦葉にもすぐれたり。
極楽百年の修行は穢土の一日の功に及ばず。
正像二千年の弘通は末法の一時に劣るか。
是はひとえに日蓮が智のかしこきにはあらず。
時のしからしむる耳のみ。

現代語訳
一切衆生を救いたいと願う日蓮の慈悲心が広大であれば、必ず南無妙法蓮華経は万年どころか未来永劫までも弘まるであろう。私の身命をかけた布教は日本国の人びとを開眼させる功徳があり、一時たりとも苦しみがやまない地獄への道をふさいだのである。この功徳は法華経を弘めた伝教大師や天台大師を超え、竜樹菩薩や迦葉尊者よりも勝れている。安楽な極楽世界でたとえ百年修行しようとも、苦しみに満ちた娑婆世界で積む一日の修行の功徳には、はるかに及ばない。又、正法・像法二千年間の仏教弘通の功徳は、末法でのほんの一時の弘通の功徳には到底及ばない。これは決して日蓮の智慧がすぐれているからではない。お題目は末法に広まるべきものと釈尊がすでに約束されていたからである。

今日の糧

末法という瀕死の時代に生きる私たちを救って下さる良薬はお題目なのです。
本仏釈尊はそれを見通して、すでにご用意下さっていました。
その良薬をなんとかみんなの口に入れようと励まれたのが、まさに大聖人の六十一年のご生涯だったのです。
それがすなわち大聖人の大慈悲であったことを、私たちは決して忘れてはならないのです。

報恩抄
本書は建治二年六月に大聖人の出家得度の師匠・道善房の訃報に接し、師への報恩、追善のために著述された。弟子日向を使者として大聖人の出家時の兄弟子浄顕房、義城房の二人に宛てた。本書は長文でありながら日向に清澄寺の師の墓前等で数度拝読させた。