法話~今日の糧~

日蓮大聖人のお言葉

  • 二十九日

    親仏

法華取要抄 祖寿五十三歳 於身延 富木常忍宛

この土の我等衆生は五百塵点劫より已来、教主釈尊の愛子なり。
不孝の失に依て今に覚知せずといえども、他方の衆生には似るべからず。
有縁の仏と結縁の衆生とは、譬えば天月の清水に浮ぶがごとし。

現代語訳
この娑婆世界に生きる私たちは、五百億塵点劫という我々の知恵では到底計れないほど、はるか昔から、教主釈尊に愛されてきた実子である。にもかかわらず、今まで他の仏を我が親と思い込むような親不孝を犯して来た。すなわち、娑婆に生きる私たちはあくまでも娑婆をつかさどる教主釈尊の子どもであって、決して阿弥陀如来や大日如来、薬師如来といった他方の教主の子どもではない。このように娑婆有縁の釈尊と縁を結ぶ私たちは、天の月が澄み切った水面におのずとその姿を映すような関係なのである。

今日の糧

数多くおられる仏様の中で、私たちの本当の親仏は永遠の命(久遠)を持たれたお釈迦様だけです。
ですから「久遠本仏釈尊」とお呼びするわけです。
そして、その本仏釈尊と私たちを固い絆で結んで下さっているのがお題目であることを忘れないで頂きたいのです。

法華取要抄
比較的短編ではあるが、内容は五大重要御書(『立正安国論』『開目抄』『観心本尊抄』『撰時抄』『報恩抄』)に次ぐ御書である。表題が示す通り、末法の法華経修行の要(かなめ)はお題目信仰であると明言されている。この一節はそのお題目をお授け下さった釈尊と私達の関係を示されている。