法話~今日の糧~

日蓮大聖人のお言葉

  • 十一日

    信仰生活のあり方

崇峻天皇御書 祖寿五十六歳 於身延 四条金吾宛

一代の肝心は法華経、法華経の修行の肝心は不軽品にて候うなり。
不軽菩薩の人を敬いしは、いかなる事ぞ。
教主釈尊の出世の本懐は、人の振舞にて候いけるぞ。

現代語訳
お釈迦様が生涯説かれたすべての教えの中で、肝心かなめの教えは法華経であり、法華経修行の肝心は『不軽品』に説かれる通りである。いかなる迫害に遭おうとも相手をひたすら礼拝し続けた不軽菩薩の行動は、何のためであったのか、それをよく考えなさい。教主釈尊がこの世に出られた真の目的は、衆生が釈尊の教えを日々の生活の中に振る舞いとして表わすことにある。

今日の糧

「短気は損気」とよく口にしますが、日頃の心がけで大切なのは俗に忍耐と言われます。
しかし、忍耐はただひたすら自分を殺して堪え忍ぶために、いつかは限界が来ます。
一方、法華経では忍辱を説きます。
忍辱は自己の成長、成仏の糧として今を受け入れる心持ちです。
プラス思考かマイナス思考かによって、今後の人生に雲泥の差が生れてくるのではないでしょうか。

四条金吾
中務左衛門尉頼基。四条とは父祖がかつて治めた領地の名に由来するといわれている。鎌倉御家人江馬氏に仕える武士。医薬に通じ、龍口法難の折、大聖人に殉死の決意を表す。大聖人に最も深く帰依した有力信者。この一節は四条金吾の欠点は短気であり、それを戒められたお手紙。

崇峻天皇
短気が災いして臣下の蘇我馬子に殺害された天皇。

不軽菩薩
法華経『常不軽菩薩品』第二十に登場する菩薩でいかなる迫害に遭おうとも、生涯出会う人々を敬い礼拝し続けた功徳により成仏した。一見他宗批判に終始したかに見える大聖人の行動も原点はこの教えから出ており、衆生の成仏を願う慈悲心の発露である。