ご本尊のすがた
その本尊の為体、本師の娑婆の上に、宝塔空に居し、塔中の妙法蓮華経の左右に、釈迦牟尼仏・多宝仏。
釈尊の脇士は上行等の四菩薩なり。
文殊・弥勒等の四菩薩は、眷属として末座に居し、迹化・他方の大小の諸菩薩は、万民の大地に処して雲閣・月卿を見るがごとし。
十方の諸仏は、大地の上に処したもう。
迹仏・迹土を表するが故なり。
現代語訳
その本尊のすがたとは、一切衆生の師である久遠本仏釈尊が住まわれる娑婆世界の上空に、宝塔が浮かび、その中央に南無妙法蓮華経。我々から向かって左に釈迦牟尼仏、右に多宝如来がお座りになっている。そして、釈尊の両側には上行・無辺行・浄行・安立行の四大菩薩がおられ、さらに文殊、弥勒菩薩らはその従者として末席に控え、その他、多くの菩薩方は、あたかも万民が大地に坐って、雲上人や公家といった貴人を仰ぎ見るようである。十方の世界から集まった数多くの仏は大地の上におられるが、これは釈尊の分身の仏であることを表しているのである。
お仏壇の正面にお祀りされているご本尊の内容が具体的に述べられています。
このご本尊を別に十界曼荼羅本尊とも呼び、地獄界から仏の世界までの十段階の世界に住む、一切の生きとし生けるものがお題目の光明に照らされて生かされていることを顕しているのです。
実はこの中にはご先祖も、そして、今、手を合わせ、お題目を唱えているあなたもすべて含まれていることを知っておいてほしいのです。
観心本尊抄
正式名称は『如来滅後五五百歳始観心本尊抄』。大聖人は本書の副状に「日蓮当身の大事」と示されている。すなわち、本書は大聖人の信仰の根幹が表明された最重要著述で、教えの最も根本となる、ご本尊とお題目について初めて詳細に明かされた。ことにこの一節はご本尊の姿を具体的に述べられている。